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「で、結局あの力はなんだったんだ?」
あの夜から一週間。
あたしとガウリイは、本当に死にかけて、、、意識不明で生死の狭間をさまよい、、ナーガの顔で(あいつ、本当にこの街じゃ色々融通が利くらしい、、)ナ・ガーノの街の中心ゼンコウ・テンプルの附属病院に入院して治療を受けなんとか意識を取り戻したって次第である。
で、今は影の襲撃に備え防御結界を張り巡らしたこの特別室にガウリイと仲良くベッドを並べているというわけである。
「、、、、ブラスト・ソードの隠された力のこと?」
しばし考え、あたしは切り出した。
「そう、それそれ」
あたしが考えをくみ取ったことが、よほどうれしいのかにこにこしながら返すガウリイ。
あんた、、本当に安上がりよね、、、こんな事でそこまでうれしそうにできるなんて、、
「ブラスト・ソードのBlastって言葉の意味知ってる?」
「知るわけ無いだろ、、俺が、、、」
そう力説されてもね、、、
「まあ〜そうだろうけど、、、気にならないの?自分の持ってる剣なのに、、、」
ちょっとは頭使いなさいよ、、ほんとに、、、
「お前さんが、苦労して捜しだしてくれた剣だ、、、俺にはそれで十分さ、、、」
にこにこしながら、、本当に幸せそうにのたまってくれるガウリイ。
また〜そんな、身体がかゆくなるようなセリフを、、、、どうしてさらっというかな、、こいつは、、
顔がぼっと、火照るのを感じた、、、いいかげん、、、慣れないのかしら、、あたしも、、
「ま、まあそれはおいといて、、、Blastって一陣の風、、陣風、、烈風、、疾風、、爆風ってまあそういう、突発的、強烈な風のことを言うのよ。気にはなってたんだ、、名前と力の性質が余りに違うのよ、、、」
「名前と力が違うって、、??」
まあ、、わからないだろうな、、、こいつじゃあ、、、
「例えば、光の剣は文字通りそのままだし、エルメキアブレードは精神だけを破壊する剣。ブレスブレードは神の恩恵がありますようにという祝福の剣。赤竜の剣は赤の龍神の騎士の剣。なのにブラスト・ソードの周囲の魔力を切れ味に昇華させるって言う自動辻きり機みたいな能力って「風」の要素がその能力に何も入ってないのよね、、、
あの時、、ブラスト・ソードがあたし達の最期をどうする?ってきいてきた時、、何となくわかったのよ、、、ほら、『愛する者と共に光の中で滅び、自らのかたきを取るか』って言ってたでしょう。あたしたちの、命と引き替えに敵を倒してやるって言ってたのよ、、、けど、あたし達の消えかけの命だけで死神を倒せるわけ無い、、そこでブラスト・ソードの周囲の魔力を吸収して切れ味に昇華させるって能力、、あの力を増幅させて、敵の力をも吸収して何らかの力にするんだって考えたのよ。
あたしたちと敵の力を束ねて、一陣の風、、そう破邪の風を呼ぶ、、それがブラスト・ソードの力って訳よ。、、そしてあたしは、、あたしはあの時、風への呼びかけと、、集められる二つの力、持ち主である人の心の力、尽きる事なき蒼き炎、、、敵である魔の力、とこしえにたゆたいし闇、、、その二つの力をどう使って欲しいかを即興でカオスワードにして唱えったってわけよ。
信じられないけど、生ある者の力と魔の力、その相反する二つの力を融合して、、混沌の力を作り出す、、、まあ、そんな剣だったから死神の混沌の力をそぐこともできたんだけどね、、、」
「えーっと、、ようわからん?」
やっぱり、、、話についてこれんかったか、、、
「、、、つまり、周囲の魔力、、敵の魔力、生命力、、それに加えて剣の持ち主の魔力や、、いのちをも吸い取って敵を倒す、、つまり、敵と相打ち、、心中するか、、、このまま何もしないで、死ぬのかどっちかを選べって言ってたのよ、、、」
「、、、おい、それじゃもし俺がとにかくあいつを倒してくれって言ってたら、、、」
少し青ざめて、、つぶやくガウリイ、、、やっとわかってくれたか、、、、
「、、、あいつは倒せたかもしれないけど、あたし達もただじゃすまなかったでしょうね、、、
ま、あんな即興の呪文だけでは、あの力を制御でき無かったでしょうね。つまり、あの状態でまだ勝って生き残るって言い切ったあんたの馬鹿さ加減に、あきれかえったブラスト・ソードが力の吸収を加減したって事よね、、あたし達が死なない程度で、力の吸収をやめた訳よ、、あたしの呪文はその手助けをしたにすぎないわ。」
あたしだったら、、とても言い切れなかったかもしれない、、、
そう、もしあたしだったら、、、あたしはどうなってもいい、、ガウリイを助けて、、って祈ってたかもしれない。
あなたの馬鹿さを、、、あなたの強さを、、ブラスト・ソードが認めたのよ、、自分のマスターとして、、、
ありがとう、、、、そして、おめでとう、、、、、ガウリイ、、、、、
「けど、あたし達の命を守るために力の吸収をブラスト・ソードが加減したせいで、死神の奴完全に滅びずに、かけらが生き残ってあっちに帰っていったんだと思うわ。」
「そうなんだよな、、、、、またくるかな?」
お〜お〜すこし、びびっとる、びびっとる、、、
「くるかもね、、女って執念深いのよ、、ガウリイ、あたしもそうかもよ、、、覚悟しときなさいよ。」
“しばらく、、そう、あなた達が今のままでいられる間には死神としてはこれないわね、、”
突然、何もない空間からかけられた声に振り向き顔を上げるあたし、、ガウリイもブラスト・ソードに手をかけ油断無く身構える。
「だれ?」
何もない空間が揺らめき、黒髪の美少女が、、そう忘れもしない、、あの子が姿を現した。
ただ、あの死の臭いもなく、、、圧倒的なプレッシャーも無く、、、敵意さえも感じられなかった。その姿はあの黒い法衣ではなく、無垢な白い法衣を身につけていた。
“結構元気そうじゃない、、リナ=インバース、、、、ガウリイ=ガブリエフ、、、”
彼女はにっこりと微笑んだ。
「あ、あんた、、、、ま、ましゃか、、、、死神さん、、、、」
少し声が震えていたのは、いがめ無い事実だった、、、
“そうよ、まあ、今は死神じゃないけどね。あんた達のせいでほとんどの力は失って失業するわ、、、お母様にお仕置きはされるわ、、、さんざんな目にあったのよ、、、、もうあなた達と関わるのはしばらくごめんよ、、、少なくても勝てる見込みがでるまではね、、、力をためるのにも時間がかかるからね、、、”
勝てる見込みって、、、やっぱり執念深いよ〜〜〜
「そ、それってどれぐらいのことなの?」
“300年から500年ぐらいかしら、、それまでは死神業は休業って訳よ、、、だから、今は殆ど力は無いわ、、、あたしを滅ぼすなら、今しかないと思うけど、、、、”
「やめとくわ、、今の力のないあんたを倒しても目覚めが悪いだけだもの、、、それに、300年から500年後なんてあたし達生きてないわよ、、、」
あたしは、そんなに待つつもりは毛頭無い、、
“転生後のあんた達にけんかを申し込むわ、、、”
どこまでしつこいんじゃ、、このアマ、、、
「じゃあ、その時を楽しみにしてるわ、、、、」
“それまで、あたし以外の誰かに負けるなんて許さない、、、だから、、これ、あげるわ、、、”
そう言って彼女はあたしに近寄って手を差し出した。その手の上には無くした魔血玉によく似た黒い宝玉が載っていた。闇を撒くものの血玉よりさらに深い黒、、混沌の闇の血玉が、、、、、
「なに、、これ、、タリスマン?」
“魔血玉のないあんた達なんか、魔族とやり合うなんて無理よ、、いつかは、終わりがくるわ、、
だから、、あたしと再戦するまで預けとく、、滅びを告げる死神の血玉、、死血玉(デス・ブラッド)よ。使い方は同じ、、ただ呼びかけは
『滅びを告げし虚ろなる刃よ
誓約の言葉に従い
汝の全ての力もて
我に更なる魔力を与えよ』
になるわ、、、”
「本当に貰っていいの、、後で返せって言っても返さないわよ、、、」
あたしは複雑な思いでその黒いタリスマンを彼女から受け取った。
“いいわよ、けど魔血玉の4つのタリスマンの合計よりは、増幅する力は落ちるわよ、、、どう使うかはあんた次第。
負けんじゃないわよ、、あんた達は、、混沌の闇、、お母様のかけらたるこのあたしにけんかを売ったんだからね。ちんけな魔族なんかにやられても、お迎えになんて来ないわよ、、あなた達が平穏な最期を迎えられるのは、、あたしに負けたときだけよ、、、、、、、それまで、、、、、
、、、、、、死ぬんじゃないわよ、、、、、、、、、、”
「、、ふっ、、このあたし達が負けるわけ無いでしょう、、でも、いただいとくわ。ありがと、、、」
なぜか、、なぜか素直になってしまった。
何となくわかる、、、彼女とあたしは、、同じ男を愛した、、、同類だから、、、、、彼女は、、彼を、他人に殺されたくないんだ、、、、殺すなら、、自分自身の手で、、、、、
“リナ、、あんたのことは今でも気にくわないわ、、あれほどこけにしてくれたんだもの、、、、けど、、ガウリイがあんたのそばにいたいって言うなら、、、ガウリイのそばにいることを今は許してあげる、、、、
ガウリイ、、、、あんたは、覚えてないかもしれないけど、、見えてなかったから仕方ないけど、、あんたは、あたしの相棒だったんだからね、、、いつか、取り戻すからね、、、、、あんたを、、、、、、、、
、、、、じゃあね、、、、、、」
そういって、来たときと同じように空間に消えていく彼女、、、その表情からは、彼女の感情は読みとれなかった、、、、、
しばらくして、、ガウリイがベッドから起きあがりあたしのベッドに腰掛けた。
「あいつ、、結構いい奴だったんだな、、、」
「もう、、女の言葉を、真正直に受け止めないでよ、、、けど、、死神は仕事って言ってたね。あれが、、あのこの逃れられない運命なのかも、、、死を見つめ続ける、、、、誰かがやらなけりゃいけない、つらい仕事、、」
、、、もしかしたら、、、そんな、つらい日々の中、、ガウリイだけが彼女の希望の光だったのかもしれない、、、、
「、、ねえガウリイ、惜しかったんじゃない、、彼女のこと、、、、ちょっと、かわいかったしね、、、」
「そうだな、、、」
かちん、、あんた、、自分の女の前で、、言ってはいけないことを、、、、
あたしは意地悪く彼を見ながら、氷よりも冷たい声で話しかけた、、、、
「がうりい、、、、、、よかったら、あのこと一緒に行ってもいいのよ、、、あたしはごめんだけどね、、」
ふんだ、、ガウリイの馬鹿、、、
「俺だってごめんだよ、、、、あいつにゃ悪いけど、覚えてないんだからしょうがないだろ。
、、、、、生まれ変わってからあいつとやり合って、、勝てんだろうか、、俺たち、、」
なだめるようにあたしの髪に手を置きなでるガウリイ、、、あたし、、やっぱり、、これをされると、、、だめになっちゃうぅ、、、、ちなみに今のあたしの髪は、、仕方ないのでショートカットになっている、、、、ばかやろ〜、、、これじゃあ、、また男の子に間違えられちゃうじゃないの、、、、、、復活した暁には絶対復讐してやるぞ!
、、、、、、、、
あたしは、、ガウリイの手の、、その気持ちよさに目を閉じ、、、おとなしく頭をなでられていた。
先のことなんて、、、今はどうでもいい、、、、今このときが、、、、ずっと続けば、、
「まあ、いいさ、、、」
いきなりガウリイがあたしの髪をなでながら話し出した。
「へっいいって何が、、」
目を開け彼を見る。そこには、、予想通り、、あたしの好きな、、あたしだけの、、笑顔があった、、、
「そんな、生まれ変わった先のことなんか知らないさ。ただ、、はっきりしたことがあるけどな。俺はそのことの方がうれしいけど、、、、」
「はっきりした事って、、何よ?」
また、、胸が動悸を打ち始めた、、、、あ〜もう、、本当に、、いい加減慣れなさいよ!あたし!!
「死神は生まれ変わった俺たちにリターンマッチしにくるっていったんだぜ、、つまり、俺とリナは生まれ変わっても一緒って訳だ。」
そういって、、あたしの方に身体を預け、、あたしの身体を抱きしめ、、、、あたしの唇に、彼の唇が降りてきた。
馬鹿、、、そして、、あたしも強く彼を抱きしめかえした、、、、、、、
暖かく、心地よい風があたし達を守るかのように吹いた気がした。
死神さん、、、なんど来ても同じよ、、、ガウリイと一緒にいるあたしは、、無敵なんだから、、
あたしは、、今この手の中にある幸せを感じていた、、、、、、、、、、、
寺の尖塔の上に独り立つ人影、、、風にたなびく黒髪、、露出過多なコスチューム、、、そう白蛇のナーガ。
しかし、今の彼女は白蛇のナーガでありながら別の何かだった、、、
「で、どうなの、、、セイルーンの方は、、、」
「は、、先遣隊が倒されたとの報告で本隊が動き出したようです、、、」
「そう、、、、あなた、何人殺したの?、、」
「、、それは、、秘密です、、」
「ふっ、、まあいいわ、、本隊が動き出したとなると 、、、来るわね、、、あいつが、、」
「はっ、、、、」
「、、、リナには悪いけど、、えさになって貰うわ、、、、白蛇のナーガではなく、、グレイシアとしてのあたしの復讐のための、、えさにね、、、、」
「、、ナーガ様、、よろしいのですか、、、、、、、」
「、、王宮の闇に潜む、あいつがこの光の世界に出てくるのよ、、、このときを逃すわけにはいかないわ、、、、、ただ、セイルーンの影の犠牲をこれ以上増やすことはセイルーンの第一皇女として許しません。
、、、全ての力を持って、リナ=インバースの命を守ること、、、、、、、、、、グレイシア=ウル=ナーガ=セイルーンの名において命じます。」
「御意!」
ただ、、風が吹いていた、、、ナ・ガーノの冷たい風が、、、
全てのこころを凍らせる風が、、、
「ごめんね、、リナ、、」
その瞳は、、ただ昏かった、、、、
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