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あたしはさすがに病み上がりというか死にかけの身、、激しく動くことはやはりきつい、、、
そのあたしをかばうように、ガウリイが前面にでてくれる。ってこいつも確か
死にかけなんだけど、、、、、、
「はっ!」
裂帛の気合いがあたしの魂を揺さぶる。黄金の大鎌と伝説の剣が打ち合う音がこだまする。
死神さんの腕前は正直言って一流の剣士並み、、つまりあたし並みの腕前である。よくこんな腕前で死神なんてハードな仕事してるな〜と変なところで感心する。
数度の撃ち合いの果て、ガウリイの剣が死に神の大鎌を跳ね上げた。その胴体ががら空きになる。いけ!ガウリイ!
あたしの声が聞こえたのかその懐に飛び込むガウリイ、、死神の胴体がまっぷたつに切り裂かれた。
やった!
しかし、彼女は返す大鎌でガウリイをはねのける、、へっ、、
死神はさっきと変わらぬ姿で大鎌をふるい続ける。あさかったのか?続けてガウリイの剣戟が彼女を袈裟切りにふたたび切断するのが確かに見えた。しかし、、全く何事もなかったように、、一瞬にして体が再生してもとの姿のまま、何事もなかったように大鎌を操る、、、、
こんなの、、こんな再生能力反則だ〜〜。大鎌を避けて大きく後ろに飛びあたしのそばに着地するガウリイ。
"ふっさすがあたしが見込んだ男、、あなたほどの腕前の剣士、さすがのあたしも初めてよ、、けど、あたしも伊達や酔狂で死神やってんじゃないのよ。あなたの力なんてあたしには通じないわ。"
「ふーん、、確かにたいした再生能力ね〜、、、けど、、、服は別みたいね。見えてるわよ、、あんた、、、、、、」
確かに、彼女の体には傷一つついていない。けどその黒い法衣は別のようである。ガウリイに切られたところが裂け、白い皮膚が、、形の良い、、大きくもなく、小さくもない胸が、、、はみだしている、、、
“へっ?、きゃああぁぁぁ!!!!!!、、、見たわね、、乙女の柔肌を、、、ガウリイ!責任とってもらうからね!!!”
くそ〜うらやまし、、、じゃなくて、、そんなこといってる場合じゃない。
どうしよう。
「リナ!どうする、、あいつ全くこたえたようすないぞ」
ガウリイが焦ったように問いかけてくる。確かに、病み上がりというか死にかけのあたし。陰腹を切って、血の足りないガウリイ、、、長引けば不利なのはこっちである。
けど、、、、切り札は最期まで見せないものよ!
「ガウリイ、あたしに考えがあんの。あなたは、なんも考えず、あいつをぶった切って頂戴!」
迷いのない澄んだ青い目があたしを射る。
「わかった、頼むぜ、相棒!」
あたしの言葉に、なんの疑いもなく返ってくる声、、、信頼されてるって、、、やっぱりすごくうれしい。
こんな時に、、、命のやりとりをしてるこんな時に、、、あたしは、、すごく幸せを感じてしまった。
「まかせて、、やっぱりあんたは最高の相棒よ!」
「おう!」
突っ込んでいくガウリイ。正直、思いっきり、動きのよくなったガウリイに全くついていけず全身を切り刻まれる死神。その再生スピードよりもガウリイの剣技の方が速い。
いまだ!
あたしはとっておきの呪文を唱える。
『黄昏よりもなお昏きものよ
血の流れよりなお紅きものよ
時の流れに埋もれし
偉大なる汝の御名において 』
黄金の大鎌を大きく振り下ろす死神。ガウリイは素早く後方に飛び、これをさける。大鎌は空を切り床に突き刺さる。直後、着地と同時にこんどは前方に飛び、床に刺さった大鎌の柄の上に飛び乗るガウリイ。死神の動きが一瞬止まる。
ガウリイが死神の頭上に飛び上がる!
『我ここに 闇に誓わん
我等が前に立ち塞がりし
この愚かなるものに
我が業と汝が力もちて
永遠の縛と滅びを与えんことを! 』
「でやあああああー」
魂魄の気合いとともに、ガウリイが大上段から死神の頭から胴体までを一気にまっぷたつに切り裂く。着地とともにもう一度大きく背後に飛び、死神から離れるガウリイ。この時を待っていた!
あたしは力あることばを解き放つ!
『魔破斬(デモンスレイブ)!』
これこそがあたしの切り札、、、死神のまわりに4つ、上下を囲むように2つ、あわせて6つの紅い逆五紡星が出現し結界を形成、その中でさらに紅い爆発的な光が輝く。
神滅斬を失った(ごめんね、お葬式も出してあげられなくて、、、涙)あたしの新たな呪文、、、敵の周囲を赤眼の魔王・シャブラニグドゥの力で発動させた6つの逆五紡星の結界で囲い、その中心にドラグスレイブを発動、通常ならば拡散する破壊力を逆五紡星の力で反射、収束させる。
周囲を完全に結界で囲むことによりアストラルサイトの本体と、こちらの世界に具現化した末端とを完全に遮断でき、魔族お得意のトカゲのしっぽ切りも不可能。 ドラグスレイブ自体の破壊力そのものは、結界の形成に大きく裂かれ通常版よりかなり落ちるものの、結界による共振で、その中心ではその何倍にも威力がふくれあがるというわけである。
あたしは対個人用の破壊力でいえば重破斬の不完全版に匹敵するほどの威力があると自負している。
さらにいうと、今みたいに敵のすぐ間近にガウリイがいても使えるという優れもの。消耗した今のあたしの魔力では今の一回撃てるかどうかってとこだったけど、、何とか発動した、、、、。
これで決める!
赤眼の魔王の魔力が輝く炎の円柱、、しかし、、しかし、、その中でうごめく影、、、、
ば、ばかな、、、滅びていない、、、
その時あたしはふと呪を刻む声を聞いた気がした。、、、永遠に失われてしまったはずの、、、、あの呪文、、、、、、
紅い炎の柱から、かすかに聞こえる。
、、こ、この呪文は、、、、、
エルフ並みのあたしの聴力だからこそ聞こえる、、耳を疑うその呪文。彼女が魔族ならば、、、精神生命体ならばあり得ないこと、、、しかし、現実にその呪文は紡がれていく、、、。
「悪夢の王の一片よ
世界のいましめ解き放たれし
凍れる黒き虚無の刃よ
我が力 我が身となりて
共に滅びの道を歩まん
神々の魂すらも打ち砕き 」
戦慄があたしの背中を駆けた。
突然、正面の逆五紡星の魔法陣に亀裂が走る。
結界が、、、
突然、亀裂から紅蓮の炎が吹き上がり、あたしの方に向かってきた。術の制御に集中していたため、動けないあたしの左脇腹を火柱が、かすめる。激痛が走った。
「ぎゃああああ〜〜〜」
こらえきれず悲鳴を上げる。
かっこわるいと思わないで欲しい。正直なところ、あたしは痛みに対するこらえ性があまり無い。さらに今は死にかけの身。その身にこの激痛は応えた、、、、
術が制御できない、結界が破られる、、、、
「リナ!」
ガウリイが火柱に背を向けてこちらに走ってくるのが見えた、、、
「だめ!!」
あたしは叫んだ、、砕け散る炎の円柱から、虚無の大鎌が伸びた。
"神滅斬(ラグナブレード)!"
あたしの、、、あたしたちの希望を消し去る、力ある声、、、、
まるでスローモーションのように、虚無の大鎌が背後からガウリイの右肩を袈裟切りに切り裂くのが見えた。
「ぐああ!」
ガウリイの右肩から血柱が吹き上がる。
ガウリイが、、、ガウリイが、、、血の海に沈んだ、、、、、、、、、
「ガウリイ!」
自分の脇腹の痛みを忘れあたしは叫んだ。
"ふふ、、、もうネタは終わりなの?"
紅い炎の柱が消滅していく、、、、その中心には、黒い瞳の黒髪の少女、、、、 ガウリイに切られたためか、はたまた魔破斬のためか、黒の法衣はなく生まれたままの姿で、、、
「 、、、、、」
さすがのあたしも発する言葉を持たなかった。
"、、ああ、このお母様の力ね、、あたしはね、死神なのよ、、、シャブラニグドゥたちみたいなちんけな魔族と一緒にしないで。お母様の末端、かけら、いってみれば直系の娘よね。
親の力を子供のあたしが使ってもかまわないでしょ。だって、私まだ子供だし〜、それに失われし力は全てあたしのもの、、この呪文も、使えるものがいない間はあたしのもの、、、、あたしをこけにした代償は高いわよ、、、、、、
確かにあなたの心は強い。その強さの基は、魔王さえも打ち倒すその魔力、、、それと、あなたを後ろで支えるひと、ガウリイ=ガブリエフ、、、、あなたには、混沌の海に帰す前に本当の絶望をあじあわせてあげる、、、その心を打ち折ってあげるわ、、、、あなたの全てを奪ってね、、。"
くっ、なにが、「だって、私まだ子供だし〜、」だ。この親の七光り娘が。
確かに信じられないほどの力を見せつけられた、、、ガウリイに兜割を食らい躰を縦にまっぷたつに裂かれその直後にあたしの必殺の魔破斬が直撃したのだ。無傷とは思えない。いや思いたくなかった。
けど、、、目の前の黒髪の美少女には何のダメージも認められない。そして、、、その手には、、、虚無の大鎌、、、あたしの神滅斬、、、、あたしの魔道人生の集大成、、、
確かに、あたしの一部は彼女に奪われた、、、、でも、でもこれ以上何も奪わせはしない!!
ガウリイを、、あたしの最高の相棒をあなたになんか奪わせはしない!
死神は、血の海に沈むガウリイに一瞥をくれた。一瞬の隙が見えた。この時しかない。
死神の反射速度はガウリイとの戦いを見る限りあたし並み。ならば、ならば、、まだ活路はある!あきらめてたまるもんですか!
「翔封界!」
あたしは、死神がガウリイからあたしに視線を移すその瞬間に風となった。
彼女にはあたしがまるで瞬間移動したようにかき消して消えたはず。
その死神の脇をすり抜け、一瞬だけ術を解除、ガウリイを抱え再び宙を翔る。
こうなりゃ戦術的撤退よ!
窓をぶち破り宿の外に逃げ出した、、いやそのつもりだった。
が、見えない障壁にはじき飛ばされ、風の結界が消滅する。
床にたたきつけられる瞬間、体を入れ替えガウリイをかばい自分を下にする。
たたきつけられた右肩が悲鳴を上げる。ぐしゃ、いやな音と、激痛が走る。衝撃に息ができない。ガウリイを抱きかかえる右腕から力が抜ける。
、、、、だめ、、、、、ガウリイをあたしから奪わないで、、、その願いもむなしく離れていく二人の身体、、、ガウリイ、、早く治療をかけなきゃ、、、
ガウリイが、、、ガウリイが、、、、、、
あたしの身体は一度の激突では勢いが止まらず、そのまま床に4、5回ともんどり打ち、そのたびに床にたたきつけられた。両足の骨が折れるボギっという音とさらなる激痛が襲う。
あたしの身体がやっと止まったのは死神の足下だった。
全身の激痛にぼやける視界に夢で見た天真爛漫な笑顔、、、、死を告げる笑顔が見えた。
"おかえりなさい、リナ=インバース"
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