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いつだって、きっかけなんていうのはその辺に転がっていて。
ただ、それに手を伸ばすかどうか。上手く使えるかどうかが、鍵になる。
この状態は居心地がよくて、でも真綿で首を絞められているような圧迫感があるから。
怖いけど。思いきって壊して。
変化を嫌と言う程見せつけて、新しく作り上げたい関係を、あたしは望んでしまったから。
手を伸ばして、鍵を掴む。
使うのは今夜。
月のない、不思議で異様で陽気な、祭りの中で。
あたしはとっておきの魔法をかける。
この手で壊して、この手で創るの。
欲しい物は何でもこの手で掴んできたんだから、今回だって掴んでみせるわ。
負ける気なんて、最初からないから。不意打ちでも何でもいい。
あたしらしく、先手必勝。
逃がすつもりも全くないから。
――――覚悟はいい?
◇◇◇◇◇
祭りの当日を迎えて昼間から慌ただしくざわめいていた街は、夕日が山裾に隠れはじめると一気に賑やかさを増した。
夜を徹して行なわれる、不思議で不気味で楽しい祭りの始まりに、誰もが浮かれているのだろう。
――――トントン
「はーい。ちょっと待って」
ガウリイからのノックに、1つ深呼吸してから鏡の前で最終チェック。
鏡の中には、いつもの魔道服を脱いで仮装をしたあたしがいる。久しぶりに軽くお化粧もしてみたし。
「よし」
気合いを入れて、あたしはドアを開いた。
「おっ待たせー」
「用意出来たか?」
ドアの脇に寄り掛かり、あたしを待っていたガウリイの姿を見た途端、あたしは思わず吹き出してしまった。
「あははははーっっ♪狼っていうより絶対犬よ、犬♪」
「指差して笑うなっ!リナが作ったくせに」
ガウリイもいつもの鎧を脱いで、街で調達してきてあたしがちょっと加工した黒のタキシードにシルクハットに蝶ネクタイ、という格好をしている。
普通にきたらただの礼服。
でも、今夜のお祭りは仮装がメイン。
しかもお化けたちが主役の不気味で楽しい祭りだっていうから、それだけじゃ面白くない。
「似合ってるわよ、ガウリイ♪」
「・・・・・思いっきり笑った後でそう言われてもな」
ガウリイの金色の髪の毛の間からぴょこんと飛び出しているのは犬の耳。ついでにズボンのお尻から伸びているのはふさふさの尻尾。おまけに手袋を加工して作ったふさふさの毛の生えた犬の手。
どちらも金茶色で、ガウリイの金髪に映えている。
コンセプトは『ダンディな狼男』ってつもりだったんだけど・・・・どう見ても狼と言うよりは犬に見えてしまう。
もともと、ガウリイの性格的には犬っぽいしさ。
「リナは・・・・どう見ても『魔女』ってやつだよな」
「おおっ!?あんたでも魔女は知ってるのね」
対するあたしは、裾の長い黒いドレスを着ていつもの黒いマントを今夜はショルダーガード無しで羽織り、黒いとんがり帽子をかぶって、手にはお約束の箒を持っている。
どこから見ても『魔女』ってやつである。
この街についたのが一昨日の事で、祭りに参加する為に昨日慌てて街中を回って材料を集め、加工したりして間に合わせたのだ。
何週間も前からこの夜の為に準備して盛り上がってるこの街で、すでにレンタル衣装なんてものはなく、有り合わせのものでそれでも予想通りの衣装を2つも作ったのだから褒められるべきだろう。
「帽子と箒と使い魔付きで、ばっちりね♪」
「俺はお前の使い魔なのか?」
「そーゆー事」
「・・・・・・まぁ、いいけどな」
がくりと溜息をついて。でもすぐに顔を上げたガウリイはとても楽し気に笑った。
「んじゃ行きますか。御主人様」
おどけた口調で差し出された犬の手に、あたしは一瞬戸惑って、でも一瞬で思考を切り替えてその手を取った。
賑やかな喧騒。
たくさんの屋台に、手にお菓子をいっぱい抱えて走り回る仮装した子供たち。
オレンジのカボチャを顔の形にくり抜いて作ったランタンがあちこちに置かれ、雰囲気を盛り上げる為かたくさんの蝋燭が揺らめいている。
「本当にみんな仮装してるんだなぁ」
「何でもありって感じよね。あ、パンプキンパイ発見!」
「よっしゃ♪」
普通の屋台に紛れて、ハロウィンと言う祭りのこの夜だけの特別メニューを出す店には長い行列が出来ている。
何やらわけのわからない奇妙な物を売ってる店もあるし、賑やかな通りを眺めれば、さり気なく本物のアンテッドモンスターたちが歩いてたり、ゴーストたちが空を飛んだりしていた。
噂には聞いていたけど、この目にするとなかなか凄まじい光景で。でも誰もがその異様さを楽しんでいる。
とても奇妙で変な祭りに、誰もが魔法にかかっているようだ。
祭りの熱気で町中の人々が集まっている。お互いがたくさんの食べ物を抱えながらも、あたしがその中ではぐれないようにと無意識の大きな手が小さな手をひいてて。
人込みにぶつからないようにさり気なく盾になってくれている。
それは、ガウリイにとってはいつもと同じ行動。
「結構冷えるな。寒くないか?」
「平気よ。マントもあるし」
仕種も態度もその姿も、それじゃ本当に害意のない従順な犬。
それはそれで、ほっとして愛おしいけれど。
本当は、狼になってもらいたいんだって言ったら。
あなたは、どうする?
さり気なくそっとガウリイの顔を仰ぎ見てみた。
あたしより年上だってのに、こんな祭りとかに参加したりすると途端に子供みたいな表情になって、無邪気に笑ってる。本当に、興味津々に瞳を輝かせてきょろきょろと回りを見つめて。
ガウリイは、いつの間にか隣にいる事が当たり前になったあたしの相棒で。
あたしと同じ景色を見て、同じ楽しみを共有出来る人。
いつの間にか隣にいる事が当たり前になって、その事に疑問を持たなくなってた。多分ガウリイも同じだろう。もともと深く物事を考えるタイプじゃないし。
だけどあたしは突然気付いてしまったから。
自分の心の奥に生まれていた、本音に。
その我が儘で貪欲なその望みを叶える為に、今夜魔法をかけると決めたから。
それが今までのあたしたちの関係を破壊するものだとしても・・・・・
怖くないと言えば、嘘になる。
でも、欲しいものを戦いもせずにいつか与えられるのを待っているなんてこと、あたしには出来ない。
この戦いを仕掛けるには、日常じゃないこんな祭りの夜が効果的なはずだから。
まだ誰にも試した事のない、だけど効果は絶大なはずのとっておきの魔法を。
たくさんの陽気なお化けたちに囲まれた、賑やかな人ごみの中で。
今、試そう。
「なあ、リナ。『とりっく・おあ・とりーと』って何の呪文だ?」
お菓子をせがむ子供たちが唱える、ハロウィンだけの無敵の呪文。
「『お菓子をくれなきゃ悪戯しちゃうぞ』って意味なんだって。だからそれを言われたらお菓子をあげなきゃいけないのよ」
「へぇ。だからあんなにお菓子をもって走り回ってるのか」
納得いった顔で走り回る子供たちを見つめるガウリイの瞳は、どこまでも優しい。
子供には無条件で優しいし甘い彼だけど、呪文を唱えるのがあたしだったら、どんな反応をするだろう?
予測はついてるから、それを見越して作戦を立ててはいるけれど。予定通りに進む戦いなんてありはしないから油断は禁物だ。
不意に立ち止ったあたしにつられて、ガウリイも立ち止った。
「どうした?」
見下ろす瞳を真直ぐに捉えて。あたしは呪文を紡ぎ出す。
「『trick or treat?』」
「へ?・・・あ〜・・・お菓子はさっき全部食っちまったよなぁ・・・」
「じゃあ、悪戯をあげるわ」
予想通りの答えに精一杯平静を装って。
小さく、でも深く息を吸い込んでからあたしは手を差し出す。
「お手!!」
「わんっ!って、おい・・・・っ!?」
その場のノリのボケとツッコミが日常のあたしたちだから、お約束通りにあたしの手に反射的に手を乗せたガウリイを力一杯引っ張って。
前のめりになったガウリイを、ここぞとばかりに思いきり引き寄せて。
近づいた顔に、すかさず――――キスをした。
一瞬だけ。けれど確かに触れた唇に、ガウリイの青い瞳は呆然と見開かれていて、予想通りの展開に思わず笑う。
「浮遊」
ガウリイが惚けている隙に、あたしは素早く箒に跨がり呪文を唱えて空に舞い上がった。
魔道士たるあたしが使ういつもの魔法でそんなに目新しいものではないのだけれど、魔女の姿で箒に乗った状態で空に浮かぶパフォーマンスは人々の喝采を浴びた。でも、今は人の目なんてどうでもいい。
「残念でした。あたしはいつまでもお菓子を欲しがる子供じゃないわ」
「・・・・リナ・・・・」
「魔女の悪戯と祝福を・・・・そこから先はガウリイが選んで」
ゆっくりと、震えないように声を紡いで。
いつもとは逆の視点で、戸惑うガウリイを見下ろして。微笑みを1つ残してあたしは魔法を切り替える。
「別行動しよう。あたしは散歩してから帰るわ。んじゃね・・・翔封界」
一気に速度を上げた夜空に舞い上がった箒は、ガウリイを地上に残したまま賑やかな祭りの街を後にした。
――――ガウリイの困惑を振り切るかのように。
◇◇◇◇◇
賑やかな街を抜けて街道を通り過ぎ、隣街まで行ってからこっそりと再び祭りの街に戻ってきた。
それなりの時間をかけたから、さっきよりも街は少し静かになっている。真夜中を過ぎてさすがに疲れた子供たちが、家に戻って眠っているからかもしれない。
眩いばかりに街を照らし出していた明りも、呪文の効力や蝋燭が切れかけているのか、もしくは夜が深けて更に闇が深みを増したせいか、落ち着いたなんとも言えない妖し気なムード満点の照明になっている。
大人たちの仮装パーティーは、静かに盛り上がっていた。
そんな街を、あたしはこの街で一番高い塔の尖端から見下ろしている。
宿に戻るのはまだ早い。
ガウリイに充分考えてもらう時間も必要だし、何よりもすぐに顔をあわせるのはあたしが無理だったから。
まだ、心臓がドキドキして苦しい。
一瞬だけ触れさせた唇に、まだ生暖かい衝撃が残ってる。
ガウリイは、鳩が豆鉄砲を喰らったような、寝てる耳に水を流し込まれたような。そんな顔をしていた。
そりゃあ、そうだ。
長い間自分が保護していた少女からいきなりキスされて、驚かないわけがない。
でも、こうでもしなきゃ。ガウリイがあたしの事を女として意識する事はないだろう。長い間、あたしがガウリイを男だと意識する事がなかったように。
後悔はしていないけれど、この戦いに負けるつもりもないけれど。
でもこれから始まる忍耐の時間を思うと、切なくて息苦しくなるのも確かだ。想いを自覚して今日行動に移すまで抱えてきた胸の痛みに、それは似ている。
痛みに反応して、でも浮かんできたのは小さな笑みだった。
「だって・・・ガウリイに守られてるから、あたしはここにいるのよ」
心配性の自称保護者さんが変な虫を片っ端から追い払ったせいで、ガウリイや仲間と呼べる相手や依頼人以外の男をよく知る機会なんてあたしにはない。
あたしから男を遠ざけているその行動はきっと無意識のものなのだろう。
それだけじゃない。
ガウリイはいつだってあたしを命懸けで守ってくれる。
どんな強敵相手でもあたしが戦うと決めた相手に決して背を向ける事なく、いつだって前に出て、言葉通りその身を盾にさえ変えて。
そんな行動すらも、ガウリイにとっては当然の事で。
――――ねぇ。
その無意識の中にあるのは、ただの保護意識?
本当に、それだけ?
それだけじゃないって思ったから、勝負を仕掛けた。
ガウリイからの子供のような独占欲を感じたから、あたしは自分の想いに気付いたんだから。
あたしにも生まれてた独占欲。
もっと、今まで以上にガウリイの事が欲しいと思う。
相棒だけじゃなく。
保護されるだけじゃなく。
あたしが望んでる男という側面も全部含めた、ガウリイという人間を。
同時に、ガウリイからもあたしの全部を望んで欲しいと願ってしまったから。
「こんな事思ってるって知ったら怖がられるかもね・・・・ほんとに女は魔女だわ」
初めての恋だから、攻め方なんてわからないけれど。遥かな時代から刻み込まれた女としての本能があたしを動かす。
自分の持つありったけの力を魅力に変えて、狙った相手をあの手この手で搦め取っていくのだから。
恋は魔物。
いつの間にか心に住み着いて、甘美な獲物を求めて、理性を飲み込んで狂わせて、それに支配されてしまう。
だから。恋する女は、みんな魔女。
魔女の衣装を纏うのは今夜だけだけど、この服を脱いでいつもの魔道服を着ていてもあたしは魔女のままなのだ。
この想いが成就して、ガウリイの心を手にいれるまで、ずっと―――――
◇◇◇◇◇
夜明け間近な時間は、闇がもっとも深まる。
まだ街に繰り出して騒いでいるのか、それともとっくに疲れ果てて深く眠っているのか、宿の中はひっそりとしていて物音1つしない。
音を殺して自分の部屋に戻ろうとしたあたしは、階段を登り切ったところでビクリと身体を強ばらせて立ち止った。
あたしの部屋のドアに寄り掛かって腕を組んだまま、青い瞳が闇の中で光っていた。
廊下の端に置かれているカボチャランタンの今にも消えそうな弱々しいオレンジの光だけが、ぼうっと足元を照らし出している。
・ ・・・・闇の中で光る狼の瞳は金色だったっけ・・・・?
今、あたしの動きを縛る瞳は深い青。
盗賊いぢめを見つけてお説教する為に待ち構えている、って時の目に少し似てるけど、でも違う。
今までに見た事ない瞳の色と雰囲気に、飲み込まれてしまいそう。
無意識にぎゅうっと手にしていた箒を抱きしめた。
沈黙を破ったのは、意外にも穏やかな少しだけ低い声。
「・・・・随分遅かったな」
「そ、そうかな・・・」
「俺を置いていくな。俺はお前の使い魔なんだろう?」
組んでいた腕を外し、寄り掛かっていた身体を起こしてあたしと向かい合うガウリイのあたしを見つめる真直ぐな視線に、あの時の戸惑いはない。
逆に、戸惑うのはあたしの方だった。
確かにガウリイはまだ犬の耳と尻尾をつけた仮装のままだけど。多分、そういう意味じゃない。
「・・・・・さっきリナに触れられるまで、そんな事考えた事なかった。一緒にいるのが当たり前になりすぎてたせいだろうな」
静かに囁くような声だけど、あたしにはキリキリと痛い。
こうなるように、ガウリイがちゃんとあたしを見てあたしの女の部分を考えてくれるように仕向けたのはあたしだけれど。
覚悟はしていたけれど、痛くて、怖い。
クッと唇を噛み締めて。ぎゅっと箒を握りしめる手に力を込めて。
でも、ここから逃げ出す事は出来ない。
望んだのはあたし。
「あのな。リナも知ってるように俺は深く考えるの得意じゃないし・・・考えるより先に身体が動くってやつだよな。だから余計に今までリナの事をそういう風に考えた事はなかった」
「・・・・・・・・知ってる、よ」
絞り出して音にした、吐き出す言葉は吐息のよう。
「あんたは出会った時からずっと『自称保護者』だったもんね。だけど・・・・成長しない子供はいないの」
胸が痛くて、思わず目を伏せた。予想して覚悟もしていたけれど、直接ガウリイから直に言われるとやっぱりきつい。
「そうだよな・・・・いつまでも子供のはずないのにな。でもな」
近づいてくる微かな靴音。そして馴染みの感触が頭の上に落とされる。どうやら犬手の手袋は外していたらしい。
大きな手がクシャッと頭を撫でていく。
「何度考えても同じだった。俺が、子供のように思っていたかっただけなんだ。保護者って言ってさ、俺が一番リナを独占したがってたんだよな」
頭の上でした声は、内容とは裏腹にとても穏やかで。
思いきって見上げた先には、照れくさそうに笑ってる、いつもと同じようでちょっとだけ違うガウリイがいた。
「・・・・・やっと気付いた?」
「ああ。気付いちまえば何を今さらって感じだな」
負けるつもりもなかったし、長期戦になるかもしれない覚悟もしていた。
痛みも辛さも覚悟して、今までの関係を壊して、新しく創ろうとしていた。
だけど、決めた時からずっと続いていた緊張がゆっくりと溶けていくのを感じる。胸の奥の痛みがゆっくりと消えていき、変わりに熱が込み上げてくるのを感じた。
「今さら他の男にこの座を渡してリナを守らせるなんて、できるかよ」
「・・・・・保護者は兼任?」
「お前を守る事には変わらないからな。ただ今までよりもちょっと欲張りになるだけだ」
頭の上に乗せられていた手が離れて、少しだけ躊躇った後、覚悟をつけたようにぐいっと強く背中に回した手があたしを広い胸に引き寄せた。
「・・・・・ちょっと、まだ照れるけどな」
「・・・・・ばぁか」
速い鼓動が聞こえそうな程近づいて。今までなかった距離に2人ともまだ少しぎこちないけれど、だけどすごく嬉しくて。
唇からは安堵の吐息と自然に湧き出た笑みが零れた。
月のない、不思議で異様で陽気な、祭りの中で。
あたしはとっておきの魔法をかけた。
今までの関係を壊す覚悟をもって、新しい関係を創ろうとして。
でも、壊れたものなんて何もなかった。
今までの2人を壊す事なく、だけど2人共が我が儘な想いを認識して認めた事で、更に深くそして大きくなっていく。
朝日が地上を照らし出して、お化けが集う一晩だけの仮装パーティーが終わりいつもの日常に戻っても。
今夜かけた魔法が効力を切らす事はないだろう。
あたしの中にいる恋する魔女が、魔力を失うことはないから。
「リナ・・・『trick or treat?』」
「・・・お菓子ならないわよ」
悪戯っぽい声にクスクスとあたしも笑う。
抱きしめてくる腕に力が篭って、しがみつく指先に力が入った。
「最初からリナにやられてたってやつだよなぁ・・・悪戯と祝福を与えるのは、犬と狼と、どちらを選ぶ?」
覗き込んでくるガウリイの表情は、今まで見た事ない。
これが、あたしに向けられる男としての最初の瞳。それは穏やかだけど熱くて、従順なだけの犬のものではあり得ない。
あたしを守る狼男。
「どっちもよ。どっちもガウリイなんだから」
「確かにな・・・・俺の魔女に悪戯と祝福を」
◇◇◇◇◇
廊下をオレンジ色にぼんやりと照らし出していたカボチャランタンからの炎が、最後の蝋燭が揺らめいて消えた。
それを合図としたかのように、ドアの前の廊下に佇んでいた1つの影が離れて、開かれた部屋の中に2つの影が忍び込む。
パタンと閉じたドアにカチャリと鍵のかかる音がして・・・・
閉じられた部屋の中でお互いに与えられた悪戯と祝福は、新しく生まれた太陽だけが知っている――――
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