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「なあ、リナ」
「……なぁに?」
微睡んでいたあたしは、目を閉じたまま応える。
今のあたしは、草むらに腰を下ろしたガウリイの膝の上に抱かれている格好だ。
そのせいもあるのか、すぐ耳元で響くガウリイの声が妙に心地いい。
「離れないでくれよ。俺から」
どこか気弱なその台詞に、あたしは微苦笑する。
まったく……心配症なんだから。
「ガウリイも……」
「ん?」
「ガウリイもだよ? ……一緒にいてね」
自分でも驚くほど、素直に言葉が出てきた。
一瞬、ガウリイの目が驚きに大きく見開かれ……それからゆっくりと微笑むと、優しくあたしの額に唇を落とす。
「ああ。離れない。それに、ほら。俺って生活力ないから。リナがいてくれないとな」
おどけた口調のガウリイ。
……自分で言うか。そういう事を。
あたしは、くすりと笑って、ガウリイの顔を見る。
「なに言ってんのよ、あんた。あたしがいないと何もできないわけ?」
「おう、そうだぞ。リナがいないと何もできないんだよ、俺は。リナがいるから、こうして生きていられるんだし……リナを失ったら、そこで終わる。俺のすべてが」
かあああああっ。
うわぁ〜〜、なんだってそんなこっぱずかしい台詞をさらりと言えるのよ、この男はっ!
顔が熱い……
「おっ、赤くなった♪」
くすくす笑いながらそんなことを言ってくるガウリイ。
くっそ〜、このあたしがいいようにからかわれるなんて!!
あとで覚えてなさいよ、ガウリイ!
「かわいいなぁ、リナは」
「ふん、あたしがかわいくないわけないでしょっ」
あたしのかわいくない台詞に、ガウリイが楽しそうに喉を鳴らす。
「そりゃそうだ。今だってこんなにかわいいんだから、子供んときもさぞかしかわいかったんだろなぁ」
「当たり前でしょ! あたしはご近所のアイドルだったのよっ」
そう、なぜか小さい頃はやたらと周りがあたしをかわいがっていた記憶がある。・・・魔導を学び始める前までのことだったが。
「そっか。だったら、リナの子供もかわいいだろうな♪」
「へ?」
思わずガウリイの顔を見据える。
いま……なんて言った、こいつ…………
ガウリイは、なにやら楽しそうにあたしを見ている。
いつもと変わらない……はずの笑顔なんだけど…………な、なんでこんなに背筋が寒いんだろ……(汗)
「あの……ガウリイ?」
「やっぱり最初は女の子がいいなぁ。リナ似の……」
などと、ひとりでぶつぶつ言ってるガウリイ。
逃げた方が……
そう思ったとたん、いきなり抱き上げられてしまった。
「ちょっと!?」
「いままでずっと生殺し状態だったもんなぁ。よくもったよな、俺の理性。ま、ようやく思いも通じたことだし。もう遠慮する必要なんてないもんな」
なにやらひとりでぶつくさ言いながらひとりで勝手に納得してるガウリイくん。
「あ、あの……(冷汗)」
「と言うわけで、リナ。協力してもらうぞ」
なんのだ!!
内心、つっこみを入れてみるが、その先は……
…………き……聞かない方がいいような……でも、聞かないのは…………き、聞きたくないけど……
「………………なんの?」
「もちろん」
顔中引きつりまくっているだろうあたしとは対照的に、ガウリイはにっこりと極上の笑顔を浮かべる。
「リナの子供見るための仕込み♪」
あああああああ、やっぱり!!!
逃げ、逃げなきゃ……!!
咄嗟に呪文を唱え始めるが。
「魔法はナシ」
「むぐっ!?」
あっという間に唇をふさがれ。
深く口づけされ、体の力が抜けてしまう。
思考がマヒしてしまう。
あたしは逃れる術を失う。
「――続きは宿に行ってからな」
ぼうっとする意識の中で。
あたしはガウリイのそんな台詞を聞いたような気がした。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ーー追記ーー
ガウリイの目的達成のために、当分は夜更かしさせられそうだと言うことを記しておく。
ったく、あのくらげはっ!!! 少しは手加減しなさいってのよっ!!
ああ、ねむい…………
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