moon

〜誓約〜


 夜中に、ふと目が覚めた。
 消えかけた焚き火。毛布の中から見上げると、剣を抱えたままガウリイが眠っていた。
 毛布もかぶんないで。

「ったく……風邪ひいたらどうするつもりよ」

 もう一つの毛布を広げようとして、あたしはそれがあたしをくるむために使われていることに気がついた。
 寒がりのあたしに、気を遣ったようだけど……

「真冬じゃないんだから……ホント、過保護よね」

 そっとガウリイにかける。
 蒼い瞳は伏せられたまま。起きる気配はない。

 ……一緒に旅を始めた頃は、こんな無防備な寝顔見せたこと無かった。
 あたしが起きるとき、いつもガウリイも起きている。
 いつからだろう……こいつがあたしを警戒しなくなったのは。

 でもずっと変わらないものも、ある。

「心配性と、過保護。あと………くらげのくせに鋭いとこ」

 そして、あたしにくれる……安心感。
 いつの間にか、あたしはガウリイが隣にいると安心するようになっていた。 こんな感覚は初めてで、しかもそれはさり気なくて。自分でもなかなか気がつかなかった。

 知らない間に何かが始まって。
 知らない間に何かが終わっていた。あたしの中で。確実に。

 なるべく音を立てないように、木ぎれを焚き火の中に入れる。
 暖かい火。見てると安心する。
 ふと見上げる夜空に、大きな月がかかっていた。

 優しく降り注いでくる、金色の光。
 どこにいても、何をしていても。月は変わらずそこにいて、変わらず優しい光を投げかけてくれる。

「………何か、ガウリイみたい」

 あたしがどんなに急いでも。
 どんなに出し抜こうとしても。
 どんなに怒っても。
 ご飯を横取りしたり、けちょんけちょんにけなしても。

 ………どんなに危険な戦いに巻き込んでも。

 振り返るといつもそこにいて、優しい笑顔を向けてくれて。
 辛くて、でもそれを表には出せなくて。精一杯普段通りに振る舞おうとするときに。
 いつの間にか、あたしが寄りかかれる位置にそっと立っている。
 今まで、それに何度助けられただろう。

 当たり前のようにガウリイはいつもそうしていて……でもそれは決して当たり前なんかじゃない。
 それが分かるようになったのは………結構最近だったりする。

「どうして、あんたはあたしと一緒にいるの……?」

 お互いが起きてい時には決して口に出せない言葉。
 訊いてしまったら、今まで通りにはいかなくなる。それが漠然とした不安としてあたしにその言葉を言わせないでいた。
 でも、今は……

 夜空にかかる、金色のお月様。
 ただ無言でそこにいる……ガウリイみたいだから……今だけ。

 言ってみよう。
 言いたくて、言えない言葉を。

「………あんたが、どうして一緒にいてくれるのか、分からないけど………
 いてくれて、ありがと。そして……これからも、そこにいて。あたしを見ていて。その代わり……」

 あたしの命と引き替えにしても、あんただけは死なせないから。
 いつも傍にいてくれる、あんただけは……

 何よりも大事な、あんただけは……

「お休み、ガウリイ……」

 これはあたしと月だけの。
 秘密の誓い。

 


 

♪Lilyさまから『Fixed ster 〜道標』のリナサイドまでいただけましたv

ああもう、リナが何でこんなに可愛いんでしょうvv

月の姿に、ガウリイを想うリナがちょっと大人びて見えて。すごく優しい眼差しでガウリイの寝顔を見つめているんだろうなぁって思えました。

可愛い中に潜む独占欲がいじらしくて、素敵ですvv

こんなにツボを刺激する素敵なお話を、本当にありがとうございました♪