|
「………何見てるの?」 いつもの野営。 「悪い、起こしたか?」 くるまっていた毛布からちょこんと出た小さな頭がぐるりと上を向く。頭上に広がる星空に、リナが破顔した。 「あ、ほんとだ。凄い星……」 森の中の、少し開けた場所。木々に囲まれ、切り取ったようにしか夜空は見えないが、それでもかなりの星が空一面を飾っていた。 「綺麗だね」 ふと思いついたことを言ってみる。 「何?」 焚き火に照らされて、赤みを増した瞳がきょとんと俺を見上げた。 「ほら……例えばこの焚き火だって、燃えてるから明るいんだろ?」 考えていた事を素直に言ったら、リナが目を丸くした。 「ガウリイが……ガウリイが考え事……しかも信じられないくらい理論的な…… リナのこの言い方はいつものことだ。 「でもさ、もし夜に星がなかったら……どうなってただろうな」 毛布の中で、リナが小さく笑った。その視線がふと俺の顔から頭上の星達に移る。 「でも……そうよね。何で星が光るのかは分からないけど……無かったら困るわね。 子供の頃良くやった遊びを言うと、リナはくすくすと笑った。 「くらげ座とか?」 一瞬睨み合い、二人同時に吹き出した。 それっきり、俺達の間に沈黙が下りる。 ふと気がつくと、隣からは規則正しい寝息が聞こえてきていた。ずっと歩き通しで疲れていたリナは、また眠ってしまったようだ。 ……リナの、色。 傍らに置いてある剣を取る。 「“光”よ」 俺の声に答え、光の刃が具現する。 「別に、やってる事が変わったわけじゃ無いんだよな」 リナと出会う前も、今と似たような仕事をしていた。違うことと言えば、職場は主に戦場、それも最前線で人間相手。 それでも……今の生活を止めたいと思ったことは一度もない。 「当たり前か。 ただ生きているというだけの日々。 「そーいや、あの変なおやぢに会ってから……だったな」 釣り竿に火の付いてないタバコ。年齢不詳の妙なおやぢ。 名前も知らない、通り過ぎていった人間の一人。 それでも、出会った事は不快な記憶じゃない。 その結果が、今だ。 隣で静かに眠っているリナ。 「今まで……一体何人の人間がお前の前に現れたんだろうな」 よく『星の数ほど人はいる』と言う。実際その通りだと思う。 もし、あのおやぢに出会っていなかったら。 ………もしかしたら、今こうしてリナの隣にいるのは俺では無かったのかもしれない。 リナ。 少なくとも、俺には考えられない。 「リナに出会えなかったら、今でもその辺りを適当にぶらついているだけだったんだろうな」 今では、リナ無しの生活が考えられないほど。俺は彼女に心底惹かれている。 闇夜を明るく照らす星。 光を刃とする剣を持ちながらも、闇の中を歩いていた俺に、気まぐれのように射し込んだ紅の光。 たった一つの存在のために。 「リナ………」 眠る彼女の髪を一房、掬い上げ口づける。 「お前に会えたから……俺もこいつも、存在して良いって思えるようになった。だから…… これは誓い。 俺を明るく照らしてくれる、ただ一つのFixed Star。
end.
|
♪lilyさまからリンクの記念にと頂いてしまったのです♪
ああもうっ!!ガウリイが〜〜〜(>_<)vvなんでこんなにいい男なんですかっ!!
静かな口調で過去を思い出しながらも、きっと幸せそうに口元に笑みを浮かべつつ眠るリナを見つめてるんでしょうねvv
星の数ほど存在する人の中で、ただ1人に出会える確率って、本当に奇跡ですよね。運命や生き方すら変えてしまうような人と、できることなら出会ってみたいです(^^)
本当に素敵なお話をありがとうございました!!
このお礼はいつか必ず!!