呪い

〜プロローグ2

 


 

 「待ちなさいっ、ゼロスっ!」

 とある街で、例のごとく例のように、リナたちはゼロスに出会った。
 「今度は誰のご命令かしら?」
 冷ややかに言い放つリナを、ゼロスが嘲るように笑った。
 「いやだなぁ、リナさん。僕だって誰にでもヘコヘコしてるわけじゃないですよ。
 あくまでも、我が主のために動いてるんですから。」
 「グレーターピースト、ね?」
 「ま、そんなとこです。」
 やれやれといった風に、手を上げる。
 「何の用?あたしたち、当分仕事はしないつもりなの、悪いけど。」
 「・・・そうもいかないですよ。今回の指令は、リナさんの『抹殺』ですからね。」
 「なっ!?」
 思ってもみなかった言葉に、驚愕する。
 「なんだとぉっ!」
 が、ガウリイの方ががいっそう驚いて叫んでいた。
 「どーゆーこと?」
 リナがガウリイを制して静かに問う。
 「いやぁ、選択肢がないってわけじゃないんですよ?
 貴女が、ガウリイさんを捨てて僕たちのもとに下るなら、話は別です。」
 「・・・・。」
 短い沈黙。
 「・・・イヤだって、言ったら?」
 「そうですねぇ・・・」
 しばし考え込むゼロス。
 「できれば、魔族側(こちら)としても人員不足ですからね、来ていただきたいですし・・・。最終手段を使わせていただきます♪」
 ぱちんと、ゼロスが指を鳴らすと、一人の少女が現れた。
 「ア、アリアっ!?」
 そう――――
 ゼロスが抱えている少女は、リナたちの知っている顔。
 先日、ちょっとした事件で関わった少女だった。
 「おや?お知り合いですか?」
 「あんた・・・知ってたわね?」
 おどけるゼロスの口調に、リナの怒気が増す。
 「・・・だったら・・・どうします?」
 「ガウリイ、殺っていいわよ・・・。あたしも、本気で、いく。」
 「おうっ!」
 「簡単には捕まりませんよ?」
 言って逃げるゼロスを、二人は追い始めた。

 「アリアを、離しなさい。」
 街からかなり外れた場所にある崖。
 その縁に、ゼロスはアリアを抱えて立っていた。
 「その前に、リナさんの答えを聞かせていただきませんと・・・。」
 「それは後よっ!離しなさいっ!!」
 怒りで、声が震えている。
 「まったく、せっかちさんですね。ほら」
 「なっ!?」
 ゼロスは、アリアを離した。崖の下に。
 「アリアっっ!」
 叫んでリナがダッシュをかける。
 「増幅版!レイ・ウィングっ!」
 「リナ、待てっ!」
 ガウリイがリナを止める。そう、彼女は今、魔法が使えない。
 仕事をしない理由の一つは、それだった。
 が、間に合わない。
 「くっ!」
 ―アリアが落ちるのが速いか、あたしの術が速いか――
 そしてリナは、崖の中程でアリアをキャッチした。
 「リナっ、気をつけろ!」
 上の方まで上がってきたとき、ゼロスが面白くなさそうな表情でリナを見つめ、何かの呪文を唱えた。
 「へ?」
 リナの体が、急に軽くなる。
 「きゃぁっ!」
 術が、解けたのだ。
 落ちる直前に、アリアを投げ出す。
 が、今度はリナ自身が落ち、縁にぶら下がる形になってしまった。
 「リナっ!」
 ガウリイが駆け寄って、引き上げようとする。
 「くっ!」
 「いい格好ですねぇ、リナさん?」
 ゼロスがあざ笑う。
 「ゼロスっ!」
 「どうです?気は変わりましたか?」
 「っ!誰がっ!」
 「じゃあ、ずっとそうしててください。ガウリイさんの力が尽きるまでですけど。」
 ガウリイの腕からは、鮮血が流れていた。
 仕事を引き受けなかった理由の二つ目。ガウリイの怪我が完治していなかったのだ。
 「ガウリイっ、離しなさいっ!あんたまで、落ちるわよっ!!」
 「誰が・・・離すかよっ!!」
 言いながら、二人は少しずつ、しかし確実にずり落ちてきていた。
 「ガウリイっ、離して!あんたが死んでどうすんのっ!」
 「イヤだっ・・・・リナがいないなら・・・」
 「離しなさい、ガウリイ。」
 静かに言って、リナが腰の剣を抜いた。
 「リナ!?」
 「そして」


   しゃっ


 「あぐっ!」
 激痛に、思わず手を離してしまった。
 「リ、リナぁぁぁっ!!」
 リナは、そのまま崖の下へと落ちていった。
 「あ〜あ。ガウリイさん、やっちゃいましたねぇ?」
 可笑しそうに言うゼロス。
 「もとは、お前のせいだろうが。」
 怒りを通り越して、空虚になる。
「 ま、下は河ですから。死んだとは限りませんよ?それより、ほら。アリアちゃんを街に連れていった方がいいですよ?僕の魔力が強すぎたみたいですね。ほっと
いたら大変なことになりますよ?」
 言って、ゼロスは消えた。
 「リナは・・・死んでない。言ったんだ、最後に。『あたしをみつけて』って。」
 ゆっくり立ち上がると、アリアを抱えて街の方へと歩いていった。
 その姿を見ながら、消えたはずのゼロスが微笑む。
 「まったく、リナさんににはしてやられましたよ。
 まさかあんな時に『呪い』をかけたんですからね、自分自身に。
 ガウリイさんのことを想いながら死ぬのがイヤだったのか、生きながらえたらガウリイさんがいない生活がイヤだったのか・・・。
 ま、どちらにしてもあまりうれしくない感情ですよ。まったく。探しようがなく
なっちゃったじゃないですか。もう。」
 呟いて、今度は本当にゼロスは消えたのだった。


 

♪ここまでがプロローグです!!うわぁ〜〜、リナ〜、ガウリイ〜〜(T_T)

本編はガウリイの視点で進むそうです。ガウリイ死ぬ気でリナを見つけてねっっ!!ああもうっ、こんな展開になるとは心臓いたいですよ(^^;)