魔法が解けるまで〜第1章 前編〜


 

 【シンフォニア高位魔法学校】  
 ここ、魔法の国ルーンビナスの中でも、本当に優秀な選び抜かれた生徒しか通うことが許されないという、超エリート校。
 一説にはシンフォニアの建国とともに創立されたとの話もあるほど長い歴史を持つ名門校でもあり、世界一の魔法学校として名高い。
 基本的には年齢や出身国を問わず、大陸中から多くの優秀な魔法使いの若者が集まっているが、超名門校だけあって身分の高い生徒も多い。貴族でも入学困難な学校だ。
 それでも、入学してしまえば学校内でその身分は全く関係のないものになる。
 シンフォニアは研究機関としても有名で、卒業せずに研究のために残る者、卒業しても戻ってくる研究者も多く、外部からの研究生も受け入れている。
 全寮制の優秀な魔法使いとその卵たちが集う、まさに『魔法使い』のための楽園。
 だけど私は、そんなシンフォニアに堂々といられるほどの魔法の腕があるわけでも、特別な研究に従事しているわけでもない。
 進路に迷っていた私に、幼馴染みで、先にこのシンフォニアに通っていたペーター=ホワイトの『ギリギリ真っ黒にはならない程度』の謀略によってこの学校へ入学することがいつの間にか決まっていた……一応名誉の為に言っておくが、私からペーターに裏工作を頼んだことは絶対にない。
 【シンフォニア】というのはそれだけ特別な場所で、一般人には憧れることすら躊躇われるような学校なのだ。
 私も一度は自分の実力を考えて辞退しようとしたが、それでも偶然手に中に降りてきた奇跡のような宝物を手放すことは出来なかった。
 そして、今。
 私はこのシンフォニアで『魔法にかけられた日々』を満喫している。

 

◇◇◇

 

 世界一のシンフォニアであっても、校風はさほど固くはない。むしろ意外な程自由な部分が多いような感じもする。
 【シンフォニア】という場所がある意味特殊すぎて、外の常識とかけ離れた部分があることも否めないけれど。
 学園内で攻撃魔法を撃ち合ったり、校舎の廊下で箒レースを開催したり、魔法薬の調合を失敗して爆発させたり……普通の学校じゃとても考えられない事件が日常だったりする。
 それでも、自己責任の元で基本的にはおおらかだ。
 たとえそれが魔法とは全く関係のない、『恋愛ごと』であったとしても。
 まさか、このシンフォニアで恋をするなんて思っても見なかった。
 いつまでも引きずっていた消化不良の失恋が、胸の奥で化膿していたはずなのに。
 もう、恋なんてしたくないと思っていたはずだったのに。
 一体、どこでどう間違えてしまったんだろう。
 今思い返してみても、一体何がきっかけで彼のことを意識するようになったのかなんて全く思い当たるようなことなんてなかったのに。
 それでも、いつの間にか好きになっていた。
 彼のことを『異性として』好きになってると自覚した時にはもう、彼からの特別な好意を受け入れていた。
 初めての両思いに、私は間違いなく浮かれている。
 痛い恋しか知らなかったはずなのに、この変わりようは一体何なんだろう。自分のことながら呆れてしまう。
 誰かに質の悪い魔法でもかけられてしまったかのようだ。
 甘ったるい恋の魔法は諸刃の剣。
 痛みと絶望を知っているからこそ、溺れきれないようにしなきゃいけない……そう囁く声が確かにあるのに。聞かないふりをしている私は狡い?
 だけど……大切だから守りたい。
 大事なものは、傷つかないように大事に隠して守っていきたい。
 だから、これは秘密の恋。
 恋愛ごとに大らかなシンフォニアの中であっても、そっと隠して内緒にしておきたい。
 とっておきの宝物をずっと独り占めしていたいから。

 

◇◇◇

 

 塔の生活は、基本的には静かで落ち着いている。
 それは、『塔』というこの寮の性質だろう。
 シンフォニアは全寮制で、それぞれ個性的な4つの寮がある。
 学校側の『生徒会』と真逆の組織である生徒主催の組織『自治会』の拠点となっている、美しい女王様が治める優雅で華やかな『赤薔薇寮』。
 賑やかで楽しいことが何より優先される、いたずらと遊びに溢れた『遊園地寮』。
 誰かに媚びず、自分たちで決めたルール以外は簡単には従わない『帽子屋寮』。
 そして、元天文台で、学生だけでなく教員寮でもある、少し固い雰囲気がある『塔』。
 教師だけでなく、ここの寮長は生徒会長だったりする。
 そんな『塔』を自分の寮として決めた人たちは、やっぱり少し真面目で穏やかな人が多い。他の寮のように、刺激はなくとも平穏な日々が一番だから、と。
 だけど、基本的には静かで穏やかなこの塔だけど、例外はある。
 ある意味この塔の名物的な騒ぎは、塔に住む者の呆れと苦笑を誘いつつも『いつものこと』と誰もが受け入れていた。
 それは、彼曰く『命がけ』の鬼ごっこだ。

 「ナイトメア先生ーっっ!どこですかっ!」
 額に青筋を浮かべながら塔中に響くような声でナイトメアを探しまわっているのは、使用人を統括する職務でありながらナイトメアの世話役までこなしているグレイだ。
 (……ああもう……またやってる……)
 そんなグレイがナイトメアを探しまわっているということは、また彼がグレイの目を盗んで仕事を放棄して逃げ出したことに他ならない。
 シンフォニアの唯一の学校医でありこの塔の管理者である『偉い人』なはずのナイトメアだが、彼は同時にこの塔一番の『問題児』でもあった。
 一見して病弱だとわかる程青白い顔で、興奮するとすぐに激しく咳き込み時に吐血する。なのに薬は大嫌いで自分の病気は治そうとしない。そんな人が医者だってことも問題だけど、何よりグレイを悩ませているのが、とんでもなく仕事嫌いってことだ。
 ナイトメアの執務室兼医務室の彼の机の上には、常に呆れる程の白い書類の山が築かれている。彼がやるべき処理をしないで放置されている仕事だ。
 どうしてそこまで仕事が嫌いなのか本当に理解に苦しむのだが、ナイトメアは毎回あの手この手で逃げ回っている。
 ……どんなに逃げ回っても結局は捕まって、監視の上説教されながら仕事させられるわけだけど。
 逃げるナイトメア1人に対して、追いかける鬼はグレイを筆頭に使用人の束だ。逃げ回るだけ体力の無駄だろうに、ナイトメアは懲りることを知らないんだから。  
 「ナイトメア先生ーーっっ!」
 「おはよう、グレイ。朝から大変ね」
 「っ!? ああ、君かアリス。おはよう。早速で悪いがナイトメア先生を見なかったか?」  「見てないわ。あの人また逃げたのね」  
 「ああ……午前中の会議に必要だから絶対にこれだけはやってくれと頼んでおいた仕事を放り出して、な……」
 私が声をかけたことで殺気立っていたグレイは一瞬穏やかになったように思えたけれど……目が据わっているから、これは相当怒っている。
 「あの……いつもごめんなさい……」
 「ん?何故君が謝るんだ?」  
 「………何でかしらね……何となく連帯責任的な感覚が……」
 もちろん、ナイトメアが逃げたのはナイトメアの意思で責任で私には直接は関係ない。だけどほら……身内の不手際は身内が尻拭いするって感覚?に近いというか……
 「ああ、そういうことか……君は本当にいい子だな。それに比べてナイトメア先生ときたら……」
 その意味を汲み取ったグレイが、はああ……と深過ぎる溜め息を吐き出した。
 ナイトメアの補佐役をしているグレイだが、その立ち位置はナイトメアがこのシンフォニアへ赴任する前から変わっていない……つまり、元々ナイトメア個人の付き人で、彼がここに来た後も同じように世話を続けている。
 職場の同僚というよりはナイトメアの家族であり親友でもあるグレイの願いは、『ナイトメアが幸せになること』……でもそれ以上に切実なる願いは、『ナイトメアが責任感をもって勤勉になること』だ。
 「君のおかげで、無理矢理薬を飲ませられる回数が増えたおかげで倒れることは減ってきているが……どうしてその体力を仕事に回して下さらないのか……」
 (いや……体力増えたらその分余計に逃げると思うんだけどな……)
 誰よりもナイトメアのダメダメ度も性格も知っているはずなのに、グレイはいつか奇跡が起きることを一途に信じているらしい。
 ーーー信じないとやってられないというか、信じることで保っていられるというべきか……  私としては、グレイの気持ちもわかるけれど、あのどうしようもない問題児が、そう簡単に真面目には変われないと思うんだけど。
 確かにもう少しちゃんと仕事はさせなきゃとは思うけれど、あのダメさも含めてナイトメアだし。
 「私もナイトメアを探すの手伝うわ」
 それでも、かなり仕事が切羽詰まっているのなら見逃してあげるわけにはいかない。
 「いや、君はこれから朝食だろう?」
 「でも……」
 「大事な生徒を空腹のまま授業に出させるわけにはいかないからな。その気持ちだけ受け取っておくよ……ああそうだ」
 私の申し出にグレイは小さく笑って首を振ったあと、ふと気づいたように懐から何かを取り出した。
 「もしどこかでナイトメア先生を見つけたら、この卵を割ってくれ。容赦のひとかけらも与えず、躊躇いもなく叩き割って欲しい」
 「これを?」
 渡されたのは小さな白い卵。何かのマジックアイテムなのだろうか。
 それじゃあ俺はこれで……と足早に去っていったグレイを見送ってしげしげと卵を見つめてみたけれど、やっぱりよくわからない。
 首を傾げながらもまぁいいかとポケットに卵を入れようとした時。
 「ん?その卵はなんだ?」
 「っっ!? な、ナイトメアっ!?」
 突然背後から声と共に暖かな重みがのしかかってきて慌てて振り返る。
 「やあ、おはよう。アリス」
 「っっ!?」
 血色の悪い唇に楽しげな笑みを浮かべながらヒョイッと私の肩越しに覗き込んできたナイトメアと思った以上に顔が近くて、反射的に顔が赤くなってしまった。
 冗談めかして後ろから柔らかく抱きしめられている体温と、この距離だからこそわかるふわりと香る薄い、甘くて苦い煙草の香り。
 朝からこれは心臓に悪過ぎる。
 「あなた、一体どこに隠れていたのよっ!? また仕事さぼって!」
 ドキドキと暴れだしている心臓の鼓動をどうにかしたくて、反射的に口から出るのはキツい言葉。同時に身体をひねって慌てて彼の腕の中から抜け出した。
 ここは他に誰もいない部屋の中じゃない。誰が通ってもおかしくない廊下だ。慌ててきょろきょろと周りを見渡してみたけれど、幸いにも人影は見えなくて内心で胸を撫で下ろした。  (もう、誰かに見られたらどうするのよっ)
 「君は心配性だなぁ。大丈夫だよ」
 私の心の中での言葉に、ナイトメアはひょいと肩を竦めて苦笑して返した。
 「大体、見られて困ることなんてないじゃないか」
 「あるわよっ!」
 (あなた、これでも一応先生なんだって自覚あるの?)
 「ああ、もちろん。私はこのシンフォニアの唯一の学校医でこの塔の管理責任者だからな!偉いんだ!」
 「偉いって自覚があるなら、逃げ回ってないでちゃんと仕事しなさいっ!」
 (この鈍感男っ!)
 間違っていないがこの場合は全力で間違っていると思う。
 ナイトメアは特殊な魔法体質の持ち主で、誰もが出来るような簡単な魔法は一切出来ない変わりに、『夢の世界に入り込める』と『人の心を読める』というとんでもなく高位な魔法を平然と使える。
 だからさっきから口にはしていない私の心の声に対して返事を返していたのだが……心は読めてもその意味までは読み取ってくれない。
 子供みたいに得意げな顔でふんぞり返る男の額に、私は沸き上がったムカムカした感情と共に手にしたままだった卵を思い切り叩き付けた。
 グレイに『容赦のひとかけらも与えずに叩き割って欲しい』って言われていたし。どこで割るかなんて指定されていないし。
 ーーーーバキッ
 「ごぐふっ…っ!?」
 ナイトメアが奇妙な声を上げると同時に割れた卵から眩い光が溢れ出し、一瞬廊下に満ちる。そして次の瞬間……
 ーーーーぴよぴよぴよぴよぴよ
 光の中から突然響き渡ったのは、何故かけたたましい程のひよこの鳴き声だった。
 「な、何だ!?何なんだっ!?」
 光が収まった後に現れたのは物凄い数の黄色いひよこの大群。それぞれがぴよぴよと大音量で鳴きながら、わらわらとナイトメアにたかっている。
 「い、痛い…っ、うるさい……!」
 ぴよぴよ鳴く黄色く小さなくちばしに突かれまくっているナイトメアは、なんとかそこから逃げようとするが、彼が逃げればひよこたちも小さな足で一生懸命に追いかける。
 (……卵から孵って一番始めに認識した人を親だと思う、っていうあれと同じなのかしら……)
 だとすればある意味ほのぼのとした光景だ。でも、のんびりと眺めるにはかなりうるさい。  「う、うるさい……!なんなんだ、これは!」
 「あ、ユリウス」
 「朝からなんの騒ぎかと思えば、お前かナイトメア」
 不意に現れたのはこの塔の寮長であり学園の風紀委員長でもあるユリウスだった。
 嫌そうに顔をしかめながらナイトメアと彼に群がるひよこの大群を睨みつけている。
 ユリウスが朝からこんな場所にいるのはとても珍しいことだった。
 彼は風紀委員長ではあるけれど、生徒ではなく研究者だ。
 自分の研究にすぐ夢中になる彼は、結構な引きこもりでもある。夜の方が静かで作業がはかどると言って、徹夜もざらな人だ。
 それが朝からこんな場所にいるってことは、それだけこのひよこの鳴き声が塔中に響いているのか、はたまた騒ぎを聞きつけた生徒に呼び出されたのか。
 「わ、私じゃないぞ!? これは、アリスが……!」
 「アリスが?」
 怪訝な顔で私を睨むユリウスに、思わず両手を振ってみせた。
 「これがなんなのかは知らないけど……!ナイトメアに会ったらぶつけろってグレイに渡されたのっ」
 ユリウスのことをよく知らない人から見れば、彼はいつも不機嫌そうだと思われる。いつも無表情で口調もキツいからだ。でも、彼のことをよく知っていけば、それは彼のポーカーフェイスにすぎないことがわかってくる。
 本来のユリウスは、不器用な程に優しい人。だから、少しくらいのキツい言い方や態度は彼らしいと許容できる。
 だけど、同時に彼のことをよく知れば、本気で怒っている時もわかる。
 今はまさにその状態。
 私もナイトメアも思わず逃げ腰になってしまうくらいには、ユリウスが怒っている。
 「グレイ!?グレイだと!?君までがグレイの手先だとは……!」
 しかし、ナイトメアは私の言葉の方によりショックを覚えたらしい。裏切り者!とその視線が訴えてくるが、そもそも仕事を投げ出して逃げ回っているナイトメアがいけない。
 「……朝から逃げ回っていたのか、あいつは」
 「うん。午前中の会議に使う書類を放り出してるんですって」
 「ならこれは自業自得だろうが……うるさいな」
 「うん……うるさいわね」
 そして、ユリウスはそれだけで正しくこの状況を理解してくれた。
 「ごめんなさい。こんな騒ぎになるとは思わなくて」
 「いや、お前のせいじゃない。あいつを捕まえるために手段を選ばなくなってきたトカゲもトカゲだが、そもそもの元凶があいつだからな」
 ーーーーぴよぴよぴよぴよぴよ
 「いいから早く助けてくれ、アリス!こんなにうるさいと……!?」
 焦ったナイトメアの声とひよこの鳴き声に混じって慌ただしく近寄ってくる靴音が聞こえた。それはいつの間にかこの騒ぎを聞きつけて集まってきた生徒たちをかき分けて現れた。
 「ナイトメア先生……!!ようやく見つけましたよ!!」
 「げげげげげっ!! 何故ここがわかったんだ!?」
 ずんずんと有無を言わせない迫力で持ってナイトメアに近づいていくのは、グレイだった。  「ふふ、そのひよこ探知機のおかげですよ……。彼女に、あなたを見つけたら発動させるように頼んでおいたんです」
 (これ……探知機だったんだ……?)
 グレイが来てからもひよこたちはぴよぴよ鳴きながらナイトメアを突くことをやめようとしない。
 「おい、トカゲっ。そのうるさいひよこをさっさと黙らせろ!」
 「そうか?この鳴き声も愛らしくていいと思ったんだが……」
 ユリウスの苦情に、グレイはきょとんとしながらも口の中で小さく呪文を唱えた。すると、現れた時と同じくぴよぴよと騒がしかったひよこたちはすうっと光になって消えていった。  ひよこたちが消えてほっとした隙に、ナイトメアの白衣の腕をグレイががっしりと捕まえる。
 「さ、捕まえましたよ、ナイトメア先生。書類チェックとサインをお願いします」
 にっこりと……ああ、その笑顔が怖い……
 「おまえ……あんな妙なマジックアイテムどこで手に入れてきたんだ。ぴよぴよぴよぴよ……ああ、頭痛がしてきた」
 「通販です。あまりの愛らしさに即決で購入したんですが……可愛い上に役に立つとは素晴らしい」
 「………通販?」
 「ああ、いいものが見つかりやすい」
 グレイの口から飛び出した意外な単語に、グレイ以外のみんなが妙な視線を思わず交わしてしまった。
 (通販、か……。たまに、妙なの売ってるわよね)
 今回のこの『ひよこ探知機』もそうだろう。グレイはご満悦なようだが、まさか通販グッズだとは……しかも、あの口調だと他にも色々購入していそうだ。
 グレイが気に入った通販グッズ。ちょっと気になるかも。
 「協力ありがとう。君のおかげでこんなにも早く捕まえられた、アリス」
 「ううん、お役に立って何よりだわ。しっかり見張ってきっちり仕事させてね、グレイ」  「ひ、酷いぞアリス……!君は私よりグレイの味方をすると言うのかっ!?」
 「当然よ。いいからさっさと仕事しなさい」
 (また逃げ回ってみんなに迷惑かけたら、しばらく会いに行かないわよ!?いいのね!?)
 「うっ………ううう……酷い……吐血しそうだ……」
 ちらりと睨みながら心の中で脅せば、ナイトメアががっくりと項垂れてグレイから逃げようと藻掻いていた抵抗をやめた。
 「さ、行きますよ、ナイトメア先生」
 そのままズルズルとグレイに引きずられて連行されて行くナイトメアを思わず見送っていると、隣から深い溜め息が聞こえた。
 「ユリウス?」
 「はぁ……早くあいつの操縦を覚えてくれ、アリス」
 「え?……ええ?」
 「お前の物好きには呆れもするが、手にした以上はしっかり手綱をとってくれと言っているんだ。あいつがまた朝からこんな馬鹿騒ぎを起こさないようにな」
 それだけ言うとユリウスは用は済んだとばかりにすたすたと自室へ向かって戻って行ってしまった。残された私はその場でしばし呆然としてしまう。
 (…………これは……ユリウスにはばれてるってことかしら)
 そうだとすれば、ユリウスともそれなりに親しいだけに何だかかなり気恥ずかしい。
 みんなの前では前と変わらない態度を取っていたつもりだったのに。でも、今まで何も言われていなかったということは、気づいていながら見守ってくれていたということだ。
 それが、何だか気恥ずかしいと共にくすぐったかった。

 

 


 

♪『魔法が解けるまで』より第1章の前編です。

『おもちゃ箱の国のアリス』の魔法学園verナイトメアルートEND後の本です。
『白衣』で『学校医』で『貴族出身』なんだそれ、萌える要素しかないじゃないか…!!
『生徒』と『先生』&『貴族』と『平民』という二大お約束を一度に出来るなんてなんて美味しい♪
というわけで、テーマは『シンデレラ』です(笑)

すみません。私『魔法使いとご主人様』も『12時の鐘とシンデレラ』もプレイしてません……
やっていたらまた色々と絡めていたのかもしれないけれど。でも、魔法学園パロディは本当に楽しいですね♪
何だろう。アリスもはっちゃけてるし、ナイトメアもまだまともだよ!?(笑)色々突っ込みどころ満載ですしね。
原稿終わったんだから、他のキャラもそろそろやらないとね!!(←まて)

恋の魔法が解ける時、最後にその手に選んでいるのは何?

気が向いたら読んでやって下さると嬉しいです♪